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東北6県の祭り魂が、歌舞伎町に鳴り響く!ノンバーバルな全席参加型・祭シアター「HANA」が開幕
2026.3.17
秋田県を拠点に活動し、今年創立75周年を迎えるわらび座によるノンバーバル参加型ステージ・祭シアター「HANA」が東京・THEATER MILANO-Zaにて3月14日(土)に開幕。
民族伝統をベースに、ミュージカルや舞踏劇、 一つのテーマを歌や踊りで構成する劇団独自の歌舞集など幅広い表現方法で老若男女が楽しめる作品を生み出してきたわらび座。そんなわらび座が新たに送るのが、観客が太鼓や提灯、うちわで参加できる祭シアター「HANA」である。脚本は劇団扉座主宰、「スーパー歌舞伎II ワンピース」などを手掛けた横内謙介が新たに書き下ろし、振付にはラッキィ池田・彩木エリ夫妻が名を連ねる。
本作のテーマソングのタイトルは「6県ロール」。まさに東北6県のロックともいえる祭り魂が客席に伝播し、最後は大量に舞う桜吹雪とともに、おおいなる希望が胸に灯ったゲネプロの様子をレポート。また、桜咲くロビーや秋田のおいしいものが集まったロビーの様子も紹介していこう。
東北6県の祭りが歌舞伎町に集結!圧巻の祭り体験

物語は雪がしんしんと降る東北の地から始まる。雪の中、鬼(森下彰夫)と、置き去りにされたこけしの精霊・オハナ(冨樫美羽)が出会い、2人は惹かれ合う。東北の地で人々の営みと触れ合っていく2人は、東北の祭りを通じて、その土地の人々と出会い笑いあい、生きる喜びを知っていく。しかし、幸せな日々ばかりではない。ときにパンデミックが、ときに爆撃が、人々の営みを壊そうとするが――。
それでも祭りは、消えなかった。その地で命が続く限り、人々を鼓舞するように太鼓の音は響く。

そして、きっとこの作品を観た誰の心にも、どん底から這い上がるための希望=祭りのようなたくましい心があるはずだ。クライマックス、盛岡さんさ踊りとともに、舞台上だけでなく客席にも大量の桜吹雪が舞う。肩に積もるほど降り注ぐ桜吹雪は、冬の終わりを告げるように、観客の心ごと春へと連れ出してくれるようだった。
一緒に祭りに参加することで、祭りの持つ活気に直接触れることができる。それは想像以上にエネルギーに満ち、気づけば寒さ厳しい東北の地で伝統を繋いできた人々への畏敬の念となり、涙がこみあげてきた。幾度の困難を越えながらも途絶えなかった祭りは、世代から世代へと手渡されてきた、声なき意志のようなものだ。その音と熱が、いま歌舞伎町の劇場で鳴り響いている。伝統や継承について、劇場という場所でこれほど深く考えさせられる体験はそうそうない。

ノンバーバルで表現する本作。鬼とオハナは一言もセリフを発しない。代わりに、踊りと太鼓、笛の音で情感豊かに胸の内を語ってくれる。それぞれの祭りを舞台上で表現しながら、そこでの出会いを受けて変化した鬼やオハナの心境が、森下と冨樫の演奏と身体表現で彩られていく。序盤は不器用さを感じさせた鬼は、オハナを愛したことで柔らかな空気へと変化し、オハナが笛を吹き舞う姿には凛とした強さと美しさが漂う。

セリフがないなか、ラブストーリーをここまでドラマチックに表現できるものかと驚かされたほどだ。言葉を介さないボーイ・ミーツ・ガールだからこそ、2人の愛はより純粋に、まっすぐ胸へと届いてくる。
全席体験型で味わう本場の祭りの臨場感

そして、「祭シアター」とあるように、本作の主役は祭だ。仙台七夕まつりに青森ねぶた祭、福島わらじまつり、秋田竿燈まつり、山形花笠まつり、そして盛岡さんさ踊り。舞台の天井につくほどの竿燈が登場したり、大わらじを大玉送りの要領で観客が前へ後ろへと送ったり。新宿歌舞伎町にいながら、東北の祭りをまるごと味わえる。そんな空間がTHEATER MILANO-Zaに出現した。

本作の祭り体験はそれだけにとどまらない。太鼓席と提灯シートにはそれぞれ、備え付けの立派な太鼓と提灯が設置されている。さらにうちわシートでは持ち帰れるうちわを振って祭りに参加できる、全シート参加型の作品だ。開演前には、本作の案内人である、おかしこ(三重野葵・小山雄大)の2人によるレクチャーのもと、観客は太鼓を鳴らしたり、提灯に明かりをつけて動かしたり。エンディングで劇場一体となって盛り上がる「6県ロール」の振付レクチャーも丁寧にしてくれるので、参加型ってどうしたらいいの?とドキドキしてしまう人も、安心して祭シアターの世界へと入っていけるだろう。


実際にゲネプロで舞台後方から観劇していたが、後半に向かうに連れて、祭りの音色に身体を揺らす観客が次第に増えていった。祭りを“観る”ではなく、“参加”する。それこそが本作の醍醐味だ。


太鼓あり、民謡あり、舞踊あり、と祭り要素が本作の目玉ではあるが、和楽器にあわせてアレンジされたワルツやボレロ、EDMといった多岐にわたる音楽とダンスが取り入れられていた点も興味深い。劇団が培っていた多様な作品ジャンルと、それを実現する劇団員の高いスキルが感じられ、ノンバーバル・祭エンターテインメントとして唯一無二の作品性を放っていた。祭シリーズは本作が第1弾となる。第1弾でこれだけの作品を生み出したわらび座。今からシリーズ第2弾が楽しみでならない。
秋田を味わう物産展&オリジナルドリンク

祭りの楽しい雰囲気は、 客席の外にも広がっている。劇団員のタペストリーに迎えられ向かったロビーでは、祭り囃子の音色とともに桜の木が眼前に現れる。この桜の木は本物なので、公演期間中に開花していく様子もお楽しみに。

物販スペースには、秋田で生まれた田沢湖ビールをはじめとした、秋田の名産品やわらび座のオリジナルグッズが並ぶ。わらび座は専用劇場や温泉宿泊施設を擁するART VILLAGE・あきた芸術村を設立しており、この田沢湖ビールもその一環として生産された、わらび座と縁深い商品。わらび座の公演を観劇するなら、ぜひ手に取ってもらいたい一品だ。こういった物産展気分を劇場で味わえるのも本作ならではだろう。

ロビーで買い物を楽しみ、桜や公演ビジュアル前で記念撮影を終えたら、ぜひ劇場内のバーカウンター「Za Bar」へ行ってみてほしい。祭シアター「HANA」公演期間中はコラボレーションドリンクとして、「満開‼ いちごミルク」と「ぷるっとりんごゼリードリンク」が販売中。鬼とオハナがあしらわれたオリジナルボトル入りなので、公演の前にしっかり糖分と水分を補給してから、全力で祭りに参加してみてはどうだろうか。

公演期間中には劇場が入る東急歌舞伎町タワーの2階カブキホール~歌舞伎横丁「FIRST STAGE」にて、祭シアター×新宿カブキhall~歌舞伎横丁「わらび座東北の芸能スペシャルステージ」が観覧無料で開催される。そのうち、3月17日(火)には特別イベント「秋田おもてなしの日」となっており、イベントが盛りだくさん。2階でのスペシャルステージに「なまはげ」が登場したり、同日15時半公演では終演後のスペシャルアフタートークも予定されているので、気になるという人はぜひ下記URLをチェックを。歌舞伎町が秋田に染まる公演期間を存分に満喫してほしい。
https://matsuri-theater.jp/news/534/


祭シアター「HANA」
2026年3月14日(土)〜3月22日(日)
お問合せ:祭シアターインフォメーションデスク
電話:0187-49-6315 電話受付時間:9:30-11:30,12:30-17:00(平日・土)
FAX:0187-44-3318 メール:gekijyo1@warabi.or.jp
公演詳細はこちら
文・写真:双海しお
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